PATRIK TIMES私は現代に生きるスナフキン、またの名をフキンシンという。アブサン飲んで、グッド・バイ。 

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連続不定期小説第4話『帰ろう。』

   ↑  2009/06/05 (金)  カテゴリー: 小説
___________…



ここは、どこだ?

眼下に見える、海沿いの町。水平線へと繋がる海は、太陽に照され、健康なイルカの肌のように、真っ青に輝いている。
生暖かい風が、水面を揺らしながら、ゴォゴォ?いや、もっとけたたましく鳴っている。風が髪を通り抜ける度、気持ちいいと思う。

そんな海のすぐそばにある小さな公園の側にある、見覚えのある、一軒家。真っ白い壁が印象的な2階建ての家。

一階の窓から漏れる白っぽい煙は、たぶんシチューの匂い。



あぁ。



帰るべき場所だ。


今日は、母の日だから。
どうせ弟は何も買わないし、俺が何か、買って来てやるか。

なにがいいかな?
カーネーションを贈るのか普通らしいけど…まぁ、そんなにクサいもの、求められていないだろうから、隣町でシュークリームでも、買ってくるか。

いや。

既に買っていたんだった。
右手に持っていたのは、美味しいと評判の、隣町のシュークリームだった。

(ここのは、旨いらしいからな。はしゃぐ弟の姿が目に見えるようだ!)


続く
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連続不定期小説第3話『黄泉の誘い』

   ↑  2009/04/21 (火)  カテゴリー: 小説
津軽の冬は、寒い。
早く、降りしきる豪雪を凌げる場所に行かなければ…。
肢体が麻痺してきた。
このままだと、死んでしまう、こんなところで、死んで…
死んでしまう?
死ねば、いいじゃないか。
始めから、そう思っていたはずだ。この期に及んで、何を言っているのだ?何を恐れているのだ?もう何も、ないじゃないか。
私には、もう何も、ないはずだ。

何も…





私はただ、死を求めることで、現実から逃避したかっただけなのだろうか?
私はただ、臆病なだけなのだろうか?
私はただ、惨めさから目を逸していただけなのだろうか?
私はただ…
私は、

私は、
私は。恐れていた。
惨めなまま、死ぬことを。
ただ、認められたかった。



私は、死と、それを恐れる自分について考えながら、寂れた町並みを歩いていた。
何故、ここに来たのだろう。何故、ここを歩いているのだろう。
何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、何故、、




何故?




何故?




何故?





何故?





何故!





…何度も、何度も、何度も。繰り返し自分に問うていた。何度目の何故、の時だろうか。意識も朦朧とし、視界が、雪の白さと混ざりあい、白く霞んできた時のことだった。

「大丈夫ですか?」


そんな声が聞こえた気がする。いよいよ、黄泉からのお誘いがきたか?私は、返事をしなかった。
もう、疲れたよ。
そのまま、意識は遠のいていった。




続く

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連続不定期小説第2話『天国への階段』

   ↑  2009/04/13 (月)  カテゴリー: 小説
第一話『賽の河原』の続き

次に彼女に会ったのは、その三日後のことだった。

私はかつて、処女作が史上最年少で新人賞に入賞し、注目の新人作家として、世間に持て囃されていた。
だが、2作目。
処女作から1年後に出版することとなった2作目…
2作目の評価は、酷いものだった。それもそうだ。書き始めからつまずき、なんとか字数を稼ぐために、延ばし延ばしで書き上げた作品だった。
世間は、手のひらを返したように私を扱い、私は、私よりも才能のある、新たな新人作家達の影に隠れていった。

そして、それから直ぐのことだった。

筆が止まった。

字数を稼ぐことすら、できなくなっていた。言葉が何も、浮かばない。何も、生まれないのだ。


そして、世間の期待に応えることのできないもどかしさと、焦りと、不安に堪えきれず、酒に頼る日々が続いた。全てを忘れようと、浴びるように飲んだ。

顔が赤くなり、やがて青ざめ、口角から泡を吹いてもなお、飲み続けた。死ぬまで飲む、それは比喩ではなく、本当のことだった。死ぬまで飲むつもりで、私は飲んでいた。

そうして飲んだ日は決まって、死んだように眠った。
丸一日以上眠ることができた。眠っている時は、全てを忘れることができた。

そして目が覚め、世界が何も変わっていない絶望を感じるのだ。

目には日常的にクマができるようになり、宴会場に並ぶ鯛のように、無機質な目には、輝きがなかった。
早すぎたスランプだった。
いや、元々、何もなかったのだ、自分には。たまたま、時宜にかない、騒がれただけのことだった。
それをわかっているからこそ感じる、無力感だった。

必死で搾り取った感性からは、何も生まれなかった。
私は、空っぽだった。

強制的に押し込まれたサナトリウムを抜け出した私は、いつの間にか、津軽にたどり着いていた。

逃げたい、ここから、今、すぐに。ニゲタイ、ココカラ、イマ、スグニ。ニゲタイ。ココカラ。スグニ。

ただそれだけを考え、半ば無意識的に、列島の北端まで来てしまった。
何がある?

雪景色を眺めながら、私は、なんとなく、そのまま自然死してしまいたい。そんな風に思った。

やがてたどり着いた、極寒の河原に、彼女はいた。
賽の河原。
向こうは、花畑。
あぁ。
渡ってしまおう。
楽になろう。
そう決めた。迷いはなかった。
そうして私は、渡ったのだ。
だが、それは幻ではなかった。

私は生きていた。
また、生き長らえた。そう思った。
そして、幻ではないものがもうひとつあった。
彼女はいた。
三日後、私が泊まった民宿に。

____________
続く。

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連続不定期小説第一話『賽の河原』

   ↑  2009/04/11 (土)  カテゴリー: 小説
「陳腐って好きよ。
だって、気持ちいいじゃない?」

テレビに写る女性が、そう言っているのを聞いて、私は、彼女のことを思い出した。


彼女は、不思議な人だった。

旅行先でのことだった。
彼女は、ちょこり、ちょこりと塀の上を巧みに歩く猫のように、河原の小石を飛び移っては飛び移り、いつの間にか向こう岸までたどり着いていた。
川の向こう側に見える彼女の姿は、昼の陽光に包まれ、幻想的に煌めいていた。

私は、程無く、恋に堕ちた。
何かが始まるということは、その終末が生まれるということで、私は既にその深淵の底へと、飲み込まれはじめていたのかもしれない。

愛や恋の定義はよくわからないが、自分はその時確かに、恋に「堕ちた」。
そんな風に感じたのだ。

彼女を追って、川を渡る。時折、苔むした石がぬめり、転げ落ちそうになる。恋とは、馬鹿のみ為せる業だ。

ようやっと、向こう側へとたどり着いた時には、彼女はもういなかった。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
続く

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