PATRIK TIMES私は現代に生きるスナフキン、またの名をフキンシンという。アブサン飲んで、グッド・バイ。 

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連続不定期小説第2話『天国への階段』

   ↑  2009/04/13 (月)  カテゴリー: 小説
第一話『賽の河原』の続き

次に彼女に会ったのは、その三日後のことだった。

私はかつて、処女作が史上最年少で新人賞に入賞し、注目の新人作家として、世間に持て囃されていた。
だが、2作目。
処女作から1年後に出版することとなった2作目…
2作目の評価は、酷いものだった。それもそうだ。書き始めからつまずき、なんとか字数を稼ぐために、延ばし延ばしで書き上げた作品だった。
世間は、手のひらを返したように私を扱い、私は、私よりも才能のある、新たな新人作家達の影に隠れていった。

そして、それから直ぐのことだった。

筆が止まった。

字数を稼ぐことすら、できなくなっていた。言葉が何も、浮かばない。何も、生まれないのだ。


そして、世間の期待に応えることのできないもどかしさと、焦りと、不安に堪えきれず、酒に頼る日々が続いた。全てを忘れようと、浴びるように飲んだ。

顔が赤くなり、やがて青ざめ、口角から泡を吹いてもなお、飲み続けた。死ぬまで飲む、それは比喩ではなく、本当のことだった。死ぬまで飲むつもりで、私は飲んでいた。

そうして飲んだ日は決まって、死んだように眠った。
丸一日以上眠ることができた。眠っている時は、全てを忘れることができた。

そして目が覚め、世界が何も変わっていない絶望を感じるのだ。

目には日常的にクマができるようになり、宴会場に並ぶ鯛のように、無機質な目には、輝きがなかった。
早すぎたスランプだった。
いや、元々、何もなかったのだ、自分には。たまたま、時宜にかない、騒がれただけのことだった。
それをわかっているからこそ感じる、無力感だった。

必死で搾り取った感性からは、何も生まれなかった。
私は、空っぽだった。

強制的に押し込まれたサナトリウムを抜け出した私は、いつの間にか、津軽にたどり着いていた。

逃げたい、ここから、今、すぐに。ニゲタイ、ココカラ、イマ、スグニ。ニゲタイ。ココカラ。スグニ。

ただそれだけを考え、半ば無意識的に、列島の北端まで来てしまった。
何がある?

雪景色を眺めながら、私は、なんとなく、そのまま自然死してしまいたい。そんな風に思った。

やがてたどり着いた、極寒の河原に、彼女はいた。
賽の河原。
向こうは、花畑。
あぁ。
渡ってしまおう。
楽になろう。
そう決めた。迷いはなかった。
そうして私は、渡ったのだ。
だが、それは幻ではなかった。

私は生きていた。
また、生き長らえた。そう思った。
そして、幻ではないものがもうひとつあった。
彼女はいた。
三日後、私が泊まった民宿に。

____________
続く。
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